数年前のこと。お隣さんが引越しするというので古い雑誌を少し分けてもらった。
たいして読めもしないのにパラパラめくっていたら、カンヌ映画祭の記事があって、
"Wondersruck"(Todd Haynes監督)という作品を知った。
辞書を片手にぼちぼち読み進めていったら、十代前半の子供向けの小説(Brian Selznick著)
が映画化されたものだということがわかった。
あらすじとか映画のモチーフにも惹かれるものがあって、映画の公開まで待てず、
その日のうちに図書館に本を借りに行った。
二つの話が同時進行。
一つは挿絵で、もうひとつは文字で語られているから、なんと600頁もの分厚い本。
子供向けだから文章がシンプルということもあって、一気に読み終えてしまった。
でももうちょっと丁寧に読みたくて延長手続きしようとしたけれど、
次に借りたい人がいて数日後に返却しなければならかった。
買っちゃおうかとも思ったが、その分厚さゆえ購入する気にならず、
急いで文字の部分だけノートに写して、挿絵は記憶に刻んで、その後くり返し読んだ。
YouTubeに、ネイティブさんの朗読があったので、これも何度も聴いた。
この動画では、ブライアン・イーノの曲がメインに使われていて、それもなかなかの世界観。
そんなこんなで、疎かにしていた英文法にちょっと目覚めたし、語彙も増えたかな。
映画のトレイラーを見たとき、ボウイの"Space Oddity"と映像がリンクする場面では
胸がざわざわした。けれど、結局うちの街(米国)の映画館では上映されなかった。しょぼん。
後日、動画でやっと見つけて一度だけ鑑賞したけど、うーん、やっぱり本のほうが好きだな。
残念ながら、小説の日本語訳は出ていないらしい。
あれから数年経って、原書から写したノートをパラパラめくりながら、
ふと自分で日本語に訳してみようかなと思った。
原書で感じた空気を再確認。一行目からなかなか難しい。でも、好きにやっちゃおう。